「マルコムX」

2002年10月22日
『マルコムX 』(1992/米)
【Malcolm X】
製作 マービン・ワース / スパイク・リー
監督 スパイク・リー
原作 アレックス・ヘイリー

出演 :デンゼル・ワシントン / アンジェラ・バセット / アル・フリーマンJr. / アルバート・ホール / デルロイ・リンド / テレサ・ランドル / スパイク・リー

<ストーリー>
アメリカにおける黒人差別反対の運動家としてキング牧師と並び称されるマルコムXの生涯を描いた作品。
マルコム(デンゼル・ワシントン)は若き頃白人女性とつき合い、髪も白人風にストレートにし、麻薬や賭博、窃盗で儲けて暮らす日々。だが、投獄中にイスラム教に目覚める。出所後は黒人だけのイスラム教組織のドン、イライジャ師のために身を粉にして働くようになる。演説上手な彼は瞬く間に寺院の主張をアメリカ社会に知らしめ、同胞を増やしていくが、彼の持つ強烈なカリスマ性に、寺院内部も白人社会も、主張の異なる黒人社会も、危険を感じはじめる。四面楚歌の中、マルコムは信念のために、闘い続けるのだが・・・。

<感想>

マルコムXというと、強烈なカリスマ性を備え、激しく黒人至上主義を説いた人物、というイメージがあったのだが、この映画では、1人の人間としての成長、苦しみを前面に押し出して描いている。そこがこの作品が語り継がれる所以だろう。
3時間を越える作品だが、彼の思想や主張が、次第に変化していくのを、丁寧に追っているので、感情移入できるのだ。
紆余曲折の末、彼が見出した答とは。黒人社会の、真の病理とは。
白人を憎んでも事態は変わらない。それに気がついたときには、遅かった・・・。

監督の魂の訴えが心を打つ。語り継がれる真実を、余す事無く伝える事に成功を収めている。
前半、もう少しはしょったほうが、後半に集中できるかなぁ、という感はあり。

デンゼル・ワシントンは、実在の人物を演じるのは
これが初めてで、7年後に「ハリケーン」で、やはり黒人差別ゆえに罪無く投獄されたボクサーを演じている。
アンジェラ・バセットの演じる、妻の存在感はこの映画に重いリアリズムを添えるのに一役かっているのは間違い無い。


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