『レザボア・ドッグス』
【Reservoir Dogs】 1991年【米】
監督 :クエンティン・タランティーノ (処女作)
男優 :ハーベイ・カイテル (Mr.ホワイト)
  :ティム・ロス (Mr.オレンジ)
  :マイケル・マドセン (Mr.ブロンド)
  :スティーブ・ブシェーミ (Mr.ピンク)
  :クエンティン・タランティーノ(Mr.ブラウン)
   :エディー・バンカー(Mr.ブルー)
  :クリストファー・ペン(ジョー)

<ストーリー>
宝石店を襲撃するためにジョーに集められた6名のギャング。周到に練られたはずのこの襲撃計画は、何故か警報が鳴って1分で現れた武装警官たちのおかげで失敗する。生き残ってアジトの倉庫に戻ってきた数名の男たちは、仲間の中に警察の囮捜査員が紛れ込んでいるに違いないと考え、疑心暗鬼に・・・

<感想>
タランティーノの出世作である。本人も、Mr.ブラウンとして登場。
ストーリー重視ではなく、『仁義なき戦い』マニアというタランティーノ監督の好きな「義理人情」を全面に描き出した物語だ。なにせ、宝石店の襲撃シーンもない。いきなり逃亡シーン、そしてその後は、回想(人物の過去の説明となる)シーンのほかは、最後まで、アジトの倉庫である。
密室で、逃亡途中に撃たれ虫の息のMr.オレンジ、自分のせいで相棒が死にそうだと自分を責めるMr.ホワイト、ダイヤを持っているちゃっかりもので小心者のMr.ピンク、そして残酷なサイコ野郎だが忠義には篤いMr.ブラウンが難をのがれ集い、腹の探り合いになる。場面転換がほとんどないぶん、濃密で、つばを飲む音まで聞こえそうな緊迫感。一触即発のギリギリ感がいい。
個性際立つワルたちのかけひきのシーンこそが物語そのものだ。

冒頭の、コーヒータイムが可笑しい。年齢層も様々な強面のギャングどもが、テーブルを囲んで、どんな恐ろしい話をと固唾を飲めば、マドンナの曲がどーだのこーだのくだらない猥談に花が咲いている。
監督のシュールなセンスに脱帽だ。

全篇を要所要所で彩る全編70年代ミュージックも必聴。

RESERVOIR:貯蔵所、貯水池、ランプの油壺、/ 比喩として・・・蓄積、宝庫、はき溜め
dog:雄犬、ヤクザ、畜生、・・・なヤツ、
ところで、いわゆる日本人が使う、裏切り者を意味する「イヌ」ではない。
それは、英語ではratだ。セリフでも、警察のイヌのことは
裏切り者を意味するratを使用している。
Dogsが複数形なことから考えても、シンプルに「野郎ども」
ところで、レザボアは形容詞ではないが、意訳すれば、
畜生どもの寄せ集め、くらいなのか?

あくまでこれは「噂」にすぎないのだが、この作品を作る前、ビデオ屋でバイトしていたタランティーノが、名作「オーボワーレザンファン」=「さよなら子供たち」を発音しにくく、「レザボワ」と略していた、いつかこの音を作品につけたいと思っていたらしぃ・・・という、胡散臭い逸話も聞いたことがある・・・実に胡散臭いので(笑) ジョークの1つくらいに思っておこう。

いいシーンは、冒頭のまったりしたコーヒータイムと、それとは正反対にたまらなく凄惨なラストだろう。Mr.ホワイトのやりきれなさ、頂点に達した怒り、謝罪しつづけるMr.オレンジの胸中、察するにあまりある。

ところで、ハンサムボーイ、ティム・ロスと、「ファーゴ」で変な顔と言われ続ける(笑)スティーブ・ブシューミにとっても、これが出世作だ。

とにかく、タランティーノの原点として、観て損はなし!(耳をそぐシーンはさすがに・・・・)

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