「スモーク」

2002年12月3日
『スモーク』【SMOKE】 1995年【米日】
監督 :ウェイン・ウァン
製作総指揮:井関惺
      ボブ・ワインスタイン  ハーベイ・ワインスタイン
原作・脚本:ポール・オースター
音楽:レイチェル・ポートマン
出演:ハーヴェイ・カイテル(オーギー/煙草屋の店主)
   ウィリアム・ハート(ポール/売れない小説家)
   フォレスト・ウィテカー(サイラス/義手の大男)
   ストッカード・チャニング(ルビー/オーギーの元恋人)
   ハロルド・ペリノーJr(ラシード/謎の黒人少年)
   アシュレイ・ジャッド(フェリシティ/ヤク中の娘)
   ジャレッド・ハリス(ジミー/おつむの弱い店員)

★ベルリン国際映画祭2部門受賞:特別銀熊賞(ウェイン・ワン)・国際評論家連盟賞 ★

<ストーリー>
ポール・オースターの原作「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」を基に、『地上より何処かで』のウェイン・ワン監督が、ブルックリンの煙草屋に集まる人々の日常とハプニングを、過去と現在、嘘と真実を巧みに交差させながら描き出している。

<感想>
これは傑作中の傑作!ストーリーといい、巧みなカメラワークといい、出演者たちの息のあった名演ぶりといい、手放しで「名作」と褒め称えたい。
物語の核は、ブルックリンの交差点前の煙草屋の店主オーギーと、
馴染みの客である、かつては売れっ子だったが、とある事件をきっかけに書けなくなった小説家ポールの友情。2人に、それぞれ珍客が訪れ、オーギーの煙草屋で、人々の嘘と本音と過去と未来が交錯する・・・。
5人をテーマにしたショートストーリーが、どれも、悪意はないが真実を話せない、そんな「嘘」をつくことによって逆に「絆」が育まれていく様子を綴っており、最後に糸をよるように纏まってゆく。
ところどころに挿入される「逸話」(煙草の煙の重さを量った男や、雪山で奇跡の悲しい再会を果す父子の話)も、ウィットと滋味に溢れ、興味がつきない。

そして、音楽が素晴らしい。特にラスト、モノクロの『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』で流れる名曲は、トム・ウェイツの゛Innocent When You Dream”ズンと胸に響く名曲。
DVDのパッケージは、ここのシーンである。

☆名ゼリフ
「世界のほんの片隅にすぎんが、いろいろなことが起こる。」
(オーギー)

「火はいずれ消えるのよ。」(ルビー)

゛Shit. If you can’t share your secrets with your friends, what kind of friend are you?”

゛Exactly. Life just wouldn’t be worth living,
would it?” 
(意訳)
「ふん。秘密を分かち合えない友達なんて
友達といえるか?」(オーギー)
「そのとおりだ。それが、生きる価値ってもんだろ」(ポール)

どうですか。酸いも甘いも噛み分けた中年男2人のこの会話。
しかも、ハーヴェイ・カイテルとウィリアム・ハートときている。
ときには言葉の替わりに煙草の煙で会話する彼らの「言葉」は、なかなか目に染る。

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