「34丁目の奇跡」

2002年12月16日
『34丁目の奇跡』【Miracle on 34th Street】 1994年・米
監督:レス・メイフィールド
脚本:ジョージ・シートン&ジョン・ヒューズ
音楽:ブルース・ブロートン
俳優:リチャード・アッテンボロー(クリス)
   エリザベス・パーキンス(ドリー)
   ディラン・マクダーモット(ブライアン)
   マラ・ウィルソン(スーザン)

(1947年ジョージ・ソートン監督作品「34丁目の奇跡」のリメイク版。)

<ストーリー>
買収寸前のニューヨークの老舗デパート、コールズはクリスマス商戦に社運を賭けている。コールズの最大の武器は今年、採用したサンタクロース役のクリス・クリングル老人。本物のサンタと見紛う彼に、NYの子供たちも、親たちも、皆、夢中に。心をこめて1人1人の子供や親に接するクリスのおかげで、客の評判も売上も株価も、うなぎ上りに。
クリスを雇ったドリーの1人娘、6才の利発なスーザンは、現実に傷つきすぎた母の影響でサンタを信じない少女だった。ある夜、スーザンは、叶えようのない3つの願い事をし、クリスを試そうとする。
自分が本物のサンタだと、サンタは確かにいるのだと、証明するために願い事を叶えようとするクリスだが、ライバル店のディスカウントストア、ショッパーズ・エキスプレスの罠に落ち、精神病院に監禁されてしまう・・・。
ドリー親子と親しい弁護士のブライアンは、嘆き悲しむスーザンのためにも、法廷で、クリス氏は本物のサンタクロースであり、人に危害を与える狂人などではないことを立証しようと奮闘する。 科学的根拠を次々と並べ立てる検事に追い詰められるクリスとブライアンだったが・・・・。

<感想>
信じることの大切さを描いた名作。
サンタが実在することを証明するのは不可能かもしれない。だが、
サンタが実在゛しない”ことを証明することも、また不可能である。「目に見える証拠」がなければ信じられないように、「目に見える証拠」がなければ否定もできない。つまり証明できない物事の『真実』とは、人の心が作るものなのだ。そう、神の存在を問うのと同じことだ。すべては心の持ちようで未来も変わってくるということを、この作品は語っている。信じる力とはそれほど偉大な力なのだ。
゛We believe.”NYの人々の支援作戦は、感動的だった。こんなせちがらい世の中だからこそ、希望まで失っては生きてゆけない。希望はまさに生きる糧なのだ。クリス氏が言う。
「私はみんなに夢を与えるシンボルだ。人の心には欲望や憎しみが渦巻いている。それに負けないという希望を与えたい。もし、目に見える事実以外は受け入れられないとすれば人生は欺瞞だらけのわびしいものになってしまう。」


ドリーとブライアンの大人の恋の行方も、この作品の見所だろう。
互いに好意を持っていても、なかなかその先に踏み込めない男女の微妙な感情が巧みに描写されていている。過去の心の傷から結婚恐怖症になっているシングルマザーと、そんな彼女と、そんな母親の影響から夢を失って冷めた瞳をしているスーザンを守りたいけれど拒絶にあい苦しむ男ブライアン・・・。

そして、スーザン訳のマラ・ウィルソンの名演には驚く。ただのこまっしゃくれた少女では可愛げがないものだが、傷つかないように
ガードした表情の下に、寂しさと悲しさが見え隠れして、誰だって、この少女の心からの笑顔を見たいと願わずにはいられない。

信じていたものに裏切られる怖さを恐れるあまり、信じる喜びまで失ってしまっては、転びたくないからと一生外を歩かないのと同じだ。世界はかくも美しい。それをこの作品は再確認させてくれる。

1ドル紙幣に刻印された゛IN GOD WE TRUST”に判事が
ハッとさせられるシーンは、実に感動的だった。


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