「サンタクローズ」

2002年12月20日
『サンタクローズ』【THE SANTA CLAUSE】1994年・米
監 督:ジョン・パスキンス          
脚 本:レオ・ベンベヌッティ
    スティーブ・ルードニック
俳優:ティム・アレン (パパ、スコット・カルヴィン)
   ジャッジ・ラインホールド (ローラの夫、ニール)
   ウェンディ・クルーソン (元妻、ローラ)
   エリック・ロイド (息子、チャーリー)
   デビッド・クロムホルツ (妖精バーナード)
<ストーリー>
おもちゃ会社に勤務するバツイチ独身のエリートサラリーマン、スコットは、一人暮らし。別居している息子のチャーリーとは定期的に面会できるのだが、いまひとつ、心が通わない。今年のイブの夜は父子水入らずで過ごせることになったのだが、おざなりにサンタの絵本を読んでやり、さっさと寝てしまうスコット。その夜更け・・・。家の屋根の上で、何かゴトゴト音がする。スコットが家の外に出て屋根の上を見ると、サンタの恰好をした男が。その不審な男に声をかけると、ビックリした男は屋根から足を滑らせ落ちて死んでしまう!
男の身元を調べようと、スコットが男の懐を探ると、<サンタ 住所:北極>という名刺が出て来た。実は、名刺の裏は、サンタになる契約書(サンタ・クロー゛ズ”)になっており、サンタが病気や事故で死んだ場合、最後を見とった男が、以後、サンタの仕事を引き継ぐとゆうものだったのだが、それが冗談ではないことを彼が知るのはもう少し後のこと。振り向くと、何故かサンタの衣装だけを残して死体は消えており、サンタを信じる息子チャーリーに懇願され、屋根の上のトナカイたちがひくソリに渋々乗り、一晩中プレゼントを配って回ることに・・・。夜があけると、トナカイたちは北極へ親子を連れていってしまう。地下深くにあるサンタの家では
多くの妖精が忙しく働き回っていた。ここで、妖精バーナードによって名刺の件が真実であることを知らされショックを受けるスコットと、おおはしゃぎのチャーリー。
目が覚めると、元の家のベッドの上。昨夜のことは夢だったのだと
思いこみたいスコット。だが、急激に太りだし、剃っても剃っても髭は伸びてしまうし、髪はあっとういうまに白髪に。チャーリーは
心も穏やかに優しくなったパパを大好きに。だがチャーリーは、学校の先生や精神分析医である義理の父ニールの前で、イヴの夜の体験を夢中で喋り続け、学校からは「妄想癖」で他の生徒に悪影響と勧告されるし、ニール夫妻は、スコットがチャーリーの親権欲しさに演技をしているのでは、と疑い、法に訴え、面会権を剥奪してしまうのだった。
そして、再びクリスマスイブの夜が訪れた-----。

<感想>
この作品の続編、【The Santa Clause 2】が
2002年11月に全米で公開され、日本でも、12月7日に封切られたばかりだ。
邦題は「サンタクロース・リターンズ! クリスマス危機一髪」

さすがはディズニー映画。夢に溢れた、ファミリー向けの映画である。暖炉も煙突もない家にどうやってサンタさんが入ってくるのか、一晩で何故、たくさんの家を廻りきれるのか、北極に住んでるというけれど、探検隊は発見していないじゃないか、そういった、子供も大人も謎に思うことが、すべて映像でオリジナル解釈されていて、子供はビックリ、大人はなるほど、と感心したり笑ったりできる。純粋に、楽しみたい、夢を持ちたい気持ちを満足させてくれる作品といえるだろう。

ただ、「ファンタジー」が得意なはずのディズニーにしては、特殊効果がややお粗末。ソリが飛ぶシーンや、トナカイたち(アニマトロニクス、ロボット)の動作や表情が、チープなのが残念。
だが、巧いのは、スコットが太って老人ぽくなって「サンタ化」していく描写や、北極のサンタの家のセットや妖精たちは、実に見事。コメディーとしての面も、医師の診察をうけたスコットの心臓が、ジングルベルの旋律とリスムで鳴っているシーンなど、笑える。アメリカではほぼ同時に公開となった「34丁目の奇跡」に
ひっかけて(あれは焼きなおしなので、原作をほとんどのアメリカ人は知っている)名前を警官にきかれ「クリス・クリングル」と答えるくだりなどもニヤリとさせられる。

だが---父と幼い息子との心の通い合いに重きを置きすぎて、このスコットという男の、人間的な面がまったく掘り下げられていない。
スコットが、隠居した老人という設定であったなら、これでまったく問題はないのだが、設定では30代後半の働き盛り、しかもややワーカホリック気味だったスコットの、「会社でのその後」が
1シーンしか描かれていないことに疑問を感じる。1年という時の流れがあるのに、映画に出てくるのは、休日に隠居老人のように寛いで近所の子供たちと交流する場面ばかり。体がサンタ化し、実際にサンタの仕事を経験して、価値観は確かに変わるだろう。そのあたりの心境の変化が描かれておらず、拒絶から唐突に受容、経過がないのだ。子供向け、をかなり意識して「オトナの事情」は省略したということだろうか。

スコットという人間が現実社会で抱えるさまざまな問題を解決することなく、サンタクロースとして実社会に別れを告げてしまう(恐らく、彼は今年はもう自宅には帰らず北極のサンタの家で死ぬまで過ごすだろうと推測される)ことです。

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