「シザーハンズ」
2002年12月25日『シザーハンズ』 【EDWARD SCISSORHANDS】 1990年・米
監督: ティム・バートン
原案: ティム・バートン
キャロライン・トンプソン
脚本: キャロライン・トンプソン
特殊メイク: スタン・ウィンストン
音楽: ダニー・エルフマン
出演: ジョニー・デップ (エドワード・シザーハンズ )
ウィノナ・ライダー (キム )
ダイアン・ウィースト (ペグ )
アンソニー・マイケル・ホール (ジム)
ヴィンセント・プライス (博士)
キャシー・ベイカー
アラン・アーキン
ロバート・オリヴェリ
エレン・グリーン
ビフ・イェーガー
ジョン・デヴィッドソン
<ストーリー>
雪の舞うクリスマスの夜。美しい老婦人が幼い孫娘のベッドの傍らに座っている。孫娘は「どうして雪は降るの?」と尋ね、祖母が
「手の代わりにハサミをつけて生まれてきた人の話からしなくちゃね」と語り始める・・・・。
小高い丘の上の古い屋敷に、年老いた発明家の博士が住んでいた。
屋敷は古城のようで、暗く冷たい。博士はエドワードという人造人間を作っている最中だった。もうすぐ完成なのだが、手を作っている間、代わりにハサミをつけておいた。それも、30cm以上もあろうかという長く鋭いハサミを。博士はクリスマス・プレゼントに両手を贈ろうとしていたのだが、あろうことか、クリスマス・イヴ、
正に本物の両手を完成して、エドワードに取り付けようとしたとき、博士は急死してしまった!一人、残されたエドワード。この丘の城のような屋敷の中で、彼はそれ以来、たった一人で暮らさなければならなかった。しかも、手はハサミのまま・・・。
丘の下は色とりどりの屋根の中流家庭が並ぶ、日当たりのよい平和な田舎町。そこに住む40代の陽気な主婦ペグは、化粧品セールスをしているが、狭い町のこと、最近、売れ行きがよくない。そこで、行ったことのない丘の上の屋敷を訪ねてみることに。薄暗い不気味な屋敷で、両手がハサミで顔が傷だらけの不思議な青年エドワードに出逢い、不憫に思ったペグは、自宅に連れてくるのだった。
ボグズ家の皆も親切にしてくれ、ペグも手厚くもてなしてくれる。
娘のキムは可憐なハイティーンの少女。生まれて初めて恋をするエドワード。どことなく惹かれはじめるキム・・・・。
感謝の気持ちから、ハサミを役立てようと庭木を芸術的に整えたり、人間やペットのヘアカットをしたり、あっというまに近所じゅうの人気者に。人間社会で、エドワードは生まれてはじめて「生きる喜び」を知った。だが---
キムとエドワードが惹かれあっていることに嫉妬したキムのボーイ・フレンド、不良青年のジムが、一計を案じ、「悪」を知らない純心なエドワードを犯罪に利用してしまう。
歯車は狂い出す。どうにもならない悲しみに心引き裂かれるエドワード。キムだけが、その痛みを理解し、優しく抱擁するのだった。
けれど、人造人間であるエドは永遠に生き続けるのだ。どれほど
深く愛し合っても、どうにもならないことだった-------。
1人、丘の上の屋敷に戻るエド。
魂をこめて氷の彫像を創り続けるエド。丘の上から削られた氷のかけらが粉雪のように町に舞い落ち続ける。愛しげに、切なげに空を仰ぐキム-----。
年老いたキムは懐かしそうに語り終えるのだった。
<感想>
クリスマスといえば、真っ先にこの作品を思い浮かべる。1991年に日本で公開されてから、ずっと、私の心の中で最も哀しく光を放つ恋物語だ。
ティム・バートン監督はこの3年後に「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」を公開する。まさに、幻想的だが甘ったるくない不思議な美意識は、彼の真骨頂。
ジョニー・デップとウィノナはこの作品をきっかけに本当の恋におち、ジョニーは彼女の名前を刺青までしたそうだが、破局している。そんなことはただのゴシップで映画には何の関係もないのだが、惹かれ合う2人の視線は、どうりでただならぬものがあったはずだ。
これだけのハードな特殊メークの上から、微妙な感情の動きを
見事に表現したジョニーには感服である。人間味と、人間ではない
部分を同時に出さなければならないのである。まったく不自然さを
感じさせなかったジョニーの演技と、ティム・バートンの脚本に
拍手。
忘れ得ない名シーンは、やはりラスト近くのエドとキムの抱擁のシーンだ。壊れるほど抱きしめたい愛する女性に、エドは触れることすらかなわない。ハサミで彼女を傷つけてしまうから。キムが何もかものみこんで、自らエドを温かく抱きしめる。この切ない純粋な愛に、観るものは溢れる涙をおさえることができない。
人間という生き物の、なんと幼くかよわきことよ。
興味を持った存在を玩具のように弄び、壊れると飽きるにとどまらず憎みすらし、捨てる。そして、忘れてしまう。
クリスマスの夜。浮かれ騒ぐだけでなく、静かに祈りながらこの1年の己の生きかたを自分に問うてみるのもよいだろう・・・・。
クリスチャンではない私でも、クリスマスには天を仰ぎたくなる。
監督: ティム・バートン
原案: ティム・バートン
キャロライン・トンプソン
脚本: キャロライン・トンプソン
特殊メイク: スタン・ウィンストン
音楽: ダニー・エルフマン
出演: ジョニー・デップ (エドワード・シザーハンズ )
ウィノナ・ライダー (キム )
ダイアン・ウィースト (ペグ )
アンソニー・マイケル・ホール (ジム)
ヴィンセント・プライス (博士)
キャシー・ベイカー
アラン・アーキン
ロバート・オリヴェリ
エレン・グリーン
ビフ・イェーガー
ジョン・デヴィッドソン
<ストーリー>
雪の舞うクリスマスの夜。美しい老婦人が幼い孫娘のベッドの傍らに座っている。孫娘は「どうして雪は降るの?」と尋ね、祖母が
「手の代わりにハサミをつけて生まれてきた人の話からしなくちゃね」と語り始める・・・・。
小高い丘の上の古い屋敷に、年老いた発明家の博士が住んでいた。
屋敷は古城のようで、暗く冷たい。博士はエドワードという人造人間を作っている最中だった。もうすぐ完成なのだが、手を作っている間、代わりにハサミをつけておいた。それも、30cm以上もあろうかという長く鋭いハサミを。博士はクリスマス・プレゼントに両手を贈ろうとしていたのだが、あろうことか、クリスマス・イヴ、
正に本物の両手を完成して、エドワードに取り付けようとしたとき、博士は急死してしまった!一人、残されたエドワード。この丘の城のような屋敷の中で、彼はそれ以来、たった一人で暮らさなければならなかった。しかも、手はハサミのまま・・・。
丘の下は色とりどりの屋根の中流家庭が並ぶ、日当たりのよい平和な田舎町。そこに住む40代の陽気な主婦ペグは、化粧品セールスをしているが、狭い町のこと、最近、売れ行きがよくない。そこで、行ったことのない丘の上の屋敷を訪ねてみることに。薄暗い不気味な屋敷で、両手がハサミで顔が傷だらけの不思議な青年エドワードに出逢い、不憫に思ったペグは、自宅に連れてくるのだった。
ボグズ家の皆も親切にしてくれ、ペグも手厚くもてなしてくれる。
娘のキムは可憐なハイティーンの少女。生まれて初めて恋をするエドワード。どことなく惹かれはじめるキム・・・・。
感謝の気持ちから、ハサミを役立てようと庭木を芸術的に整えたり、人間やペットのヘアカットをしたり、あっというまに近所じゅうの人気者に。人間社会で、エドワードは生まれてはじめて「生きる喜び」を知った。だが---
キムとエドワードが惹かれあっていることに嫉妬したキムのボーイ・フレンド、不良青年のジムが、一計を案じ、「悪」を知らない純心なエドワードを犯罪に利用してしまう。
歯車は狂い出す。どうにもならない悲しみに心引き裂かれるエドワード。キムだけが、その痛みを理解し、優しく抱擁するのだった。
けれど、人造人間であるエドは永遠に生き続けるのだ。どれほど
深く愛し合っても、どうにもならないことだった-------。
1人、丘の上の屋敷に戻るエド。
魂をこめて氷の彫像を創り続けるエド。丘の上から削られた氷のかけらが粉雪のように町に舞い落ち続ける。愛しげに、切なげに空を仰ぐキム-----。
年老いたキムは懐かしそうに語り終えるのだった。
<感想>
クリスマスといえば、真っ先にこの作品を思い浮かべる。1991年に日本で公開されてから、ずっと、私の心の中で最も哀しく光を放つ恋物語だ。
ティム・バートン監督はこの3年後に「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」を公開する。まさに、幻想的だが甘ったるくない不思議な美意識は、彼の真骨頂。
ジョニー・デップとウィノナはこの作品をきっかけに本当の恋におち、ジョニーは彼女の名前を刺青までしたそうだが、破局している。そんなことはただのゴシップで映画には何の関係もないのだが、惹かれ合う2人の視線は、どうりでただならぬものがあったはずだ。
これだけのハードな特殊メークの上から、微妙な感情の動きを
見事に表現したジョニーには感服である。人間味と、人間ではない
部分を同時に出さなければならないのである。まったく不自然さを
感じさせなかったジョニーの演技と、ティム・バートンの脚本に
拍手。
忘れ得ない名シーンは、やはりラスト近くのエドとキムの抱擁のシーンだ。壊れるほど抱きしめたい愛する女性に、エドは触れることすらかなわない。ハサミで彼女を傷つけてしまうから。キムが何もかものみこんで、自らエドを温かく抱きしめる。この切ない純粋な愛に、観るものは溢れる涙をおさえることができない。
人間という生き物の、なんと幼くかよわきことよ。
興味を持った存在を玩具のように弄び、壊れると飽きるにとどまらず憎みすらし、捨てる。そして、忘れてしまう。
クリスマスの夜。浮かれ騒ぐだけでなく、静かに祈りながらこの1年の己の生きかたを自分に問うてみるのもよいだろう・・・・。
クリスチャンではない私でも、クリスマスには天を仰ぎたくなる。
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