『ロザンナのために』 【FOR ROSEANNA】 1997年・米
監督:ポール・ウェイランド
脚本:ソール・タートルトーブ
俳優:ジャン・レノ(マルチェロ)
  マーセデス・ルール(ロザンナ)
  ポリー・ウォーカー(チチリア)
  マーク・フランケル(アントニオ)
  ジュゼッペ・セデルナ(神父)

<ストーリー>
イタリアの田舎町。小さなトラットリアの主人、マルチェロは、病気のため余命いくばくもない愛妻ロザンナの悲願“娘の隣の墓で永遠の眠りにつきたい”をなんとかしてかなえてやろうと奔走する。なにせ、小さい町のこと、墓地が足りないのだ!
町の土地を握っている権力者カペストロは、誰にも払えないような法外な価格を土地につけ、町に売ることを拒みつづけるため、このままいくと、死者は別の町に埋葬するしかない。誰もみな、自分の故郷の墓に入りたいと願うのに・・・・・。
さぁ、残りの墓はあと3つ! マルチェロは、店をほったらかしで、事故が起きないように交通整理に精を出したり、瀕死の病人たちを見舞って死ぬな〜、死ぬなら外国で死んでくれ〜と真剣に懇願する。そんなマルチェロに、町の人々は呆れるやら笑うやら。
ロザンナは、愛する夫に、自分の死後、美しい妹チチリアと再婚してくれと懇願する。だが、お互いまったくその気がないマルチェロとチチリアなのだった。チチリアは、カペストロの甥であり弁護士であるアントニオを惹かれあっていた。アントニオによると、叔父が土地を手放さない理由はカネ以外のところにあるらしいという・・・・。
そんな時、事件が起こる。
店の常連、銀行支店長のブルーノが、20年ぶりに出所した凶悪犯に怯えていることを知るマルチェロ。投資するといって預かっていたトンでもない大金7億リラを、ローマにいる愛人につぎこんでしまったのだという。殺される〜〜と怯えるブルーノ。死人が出てもらっては困るマルチェロ。ところが、まさかのまさか、事故であっけなく他界してしまうブルーノ。だが、いまわの際に、亡くなった妻の隣に埋葬すると約束するのを条件に、残りの金のありかを教えてくれた。この金でカペストロから土地を買いとってやる、と意気込むマルチェロ。とりあえず、墓を減らさないために、ブルーノの自宅の冷凍庫に“埋葬”し、ブルーノを殺しにきた凶悪犯は、それを知るや、やり場のない怒りから自暴自棄になって
自殺。またしても死人が!! 凶悪犯の死体もうまいこと“始末”したのはいいが、病院にも危篤状態の老人が2人。

どうする、マルチェロ。頑張ったけれど、もう墓は1つしか空いていない。死を待つばかりのロザンナが、自らカペストロ邸に出向き、町の人々のためにも最期の願いをきいてもらおうとするが-----------。
ここで、哀しい金の亡者カペストトの過去が明らかになる・・・。

間もなくロザンナは悲願かなって町の最後の墓、娘の隣の墓に埋葬された。葬式の直後、マルチェロは悲しみのあまり店を閉め、妻の遺志どおりチチリアを連れて遠くへ行ったと耳にするアントニオ。あわてふためき、彼らを追い、汽車に乗る寸前のチチリアに必死でプロポーズするのだが!?

<感想>
こんなに面白い映画はそうそうあるもんじゃない。とにかく笑える。死体はゴロゴロ、葬式のシーンが何回も出てくるというのに、可笑しくてたまらない。究極のブラック・コメデイであり、それと同時に、究極の夫婦愛の物語なのである。
ジャン・レノのファンなら観なきゃ損。「レオン」とはまったく趣の違った役どころ。貧乏でおっちょこちょいの変なおじさんだが、愛すべき人物を大真面目に演じて、楽しませてくれる。
次から次へと、以外な展開がスピーディに続き、あっというまの98分。笑えて、泣けて、最後は大どんでんがえし。オススメです。

出演者がイギリス人、アメリカ人、本場(笑)イタリア人、と
ごちゃごちゃで、全員がめちゃめちゃなイタリア訛りの巻き英語をまくしたてるのには唖然としたが、ハリウッド映画は、どこの国を
舞台にしてもそうなるので、シリアス映画だとイタいが、コメディだということで、それも笑える要素の1つと考えよう。

余談だが、そういう意味では、イギリス映画は徹底している。
イギリス映画は、基本的にすべて舞台はイギリスであるが、
あの国は地方によって相当訛りに差があるため、出演者には、
舞台となる地方の訛りを完全に習得させるそうだ。子役の場合、
はじめから、その地方でオーディションを行うという。「リトル・ダンサー」は北イングランド訛り、「がんばれ、リアム」はリバプール訛りが必須だったからだ。やはり生真面目なお国柄なのだろうか。

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