「シャンプー台のむこうに」
2003年1月21日シャンプー台のむこうに
【BLOW DRY】 2001年・英
監督:パディ・ブレスナック
脚本:サイモン・ボーフォイ
製作総指揮:シドニー・ポラック
美術 サラ・ホールドレン
俳優:ジョシュ・ハーネット(ブライアン)
レイチェル・リー・クック(クリスティーナ)
アラン・リックマン(フィル)
レイチェル・グリフィス(サンドラ)
ナターシャ・リチャードソン(シェリー)
ビル・ナイ(レイ)
<ストーリー>
かつては「伝説のハサミ」と畏れられコンテスト荒らしの常連だったフィルは、10年前、三連覇がかかったヘアドレッサー選手権前夜、仕事上もパートナーだった妻とモデルに駆け落ちされて、すっかりいじけてしまった。息子ブライアンはパパの店の助手。絶縁状態のママ、シェリーは、目と鼻の先で駆け落ちした元モデルのサンドラと一緒に美容院を開いてる。実はシェリーはガンで余命いくばくもないのだが、誰にも打ち明けられずにいる。
そんな中、ヘアドレッサー選手権が、このヨークシャーの田舎町キースリーで開催されることに!市長は1人で大コーフン。“髪”なんてこぎれいにしてりゃなんでもいいという認識の田舎町のこと、市民も新聞記者もほぼ無関心。さて、いよいよ大会が近づき、ロンドンから、イギリス中から、一流ヘアデザイナーたちが押し寄せた!!
地元キースリーからはまだ誰も名乗りをあげていない。市長に説得されるフィルだが、頑固なフィルのこと、嫌な思い出から頑なに拒否し続ける。だが、息子のブライアンは、腕を試したい気持ちと、ライバルの一流アーティスト、レイの一人娘、クリスティーナに一目惚れしたことから、挑戦したい気持ちが高まっていった。だが、父は猛反対。チームは3人一組で申しこまねばならない。1人ではどうしようもないのだ。前夜祭の夜、ついに決心をかためたブライアンは、10年間口もろくにきいていなかった母と、母の恋人サンドラに会いに行き、3人で出場しようと申し出る。
大喜びの母、シェリー。残りの命を、バラバラになってしまった家族と過ごすことが彼女の歳後の願いだったのだから・・・。
いよいよ、コンテストが開催される!! だが、ライバルによる陰謀が待ち構えていた----。
<感想>
脚本は、あの「フル・モンティ」のサイモン・ボーフォイ。期待を裏切らない、爽やかに笑える小品に仕上がっている。
田舎町の市長が、町興しだ〜!と子供のようにはしゃぎまわる様子も可笑しく笑いを誘う。
華麗なコンテストのシーンは見ていてワクワクするし、美容師のコンテストという題材は、今までにないだけだって、興味深く楽しい。彼らの「髪」にかける炎の情熱は、一般人には理解しがたい
だけあってコミカルで笑える。
だが、脚本に問題が。
10年前の「事件」について、「理由」が語られていないので、
誰にも感情移入できないのだ。妻がレズビアンで、自分のコンテスト用モデルと、大会前日に駆け落ちしてしまったフィルはもう気の毒としかいいようがないのだが、二人が恋に落ちたのはまぁ仕方がないこととしても、なぜ、大会の前日なのか? 何か夫のフィルに問題(暴力や酒癖や浮気など)があったらしいことは一言も語られないし、まったく腑に落ちない。しかも、駆け落ちして、住んでいるところは目と鼻の先。しかも同業。離婚もしておらず、二人の姓は同じまま。ここが明確に語られないので、この家族がバラバラになってしまった原因が、単にシェリーの我侭でしかなく、どうも胸がスッキリしないのだ。妻が女と駆け落ちしたということで、世間の笑い者になり苦しんできたフィル。まだ幼かったのに母に捨てられたブライアン。その二人に、「私はもう死ぬんだから、最期の願いをきいて」と迫るのも、人によっては我侭ととれるだろう。
だが、私は、シェリーの最期の罪滅ぼしだ、と思う。才能がありながら世間を避けて生きざるを得なくなった夫に、もう一度、スポットライトを浴びるチャンスと、生き甲斐を与えてあげたい。
物心ついてから“家族”を持たずに孤独に育ったブライアンに、
死ぬ前に少しでも「母との時間」を持たせてやりたい・・・。
1人でこの世に取り残される愛するサンドラに、ホンモノのでなくても、“家族のように親しい存在”(フィルとブライアン)を
残してあげたい・・・。それがシェリーの願いだろう。
全体の流れもよいし、ラストはハッピーだ。
それぞれの「生き方」を頑固に貫くイギリス人気質がにじみ出ていて、よかった。
クリスティーナが、父レイの汚いやりかたに対する無言の抗議として、髪を切り落としてしまうシーン、そして、そんな彼女を、
心から「本当に綺麗だよ・・・」と愛に満ちた目で見つめるブライアン。とてもステキなキスシーンだった。
ジョシュ君が主演となっているが、実質的にこれはアラン・リックマンの映画、といえよう。彼の足の裏に彫られたハサミのタトゥー、最高にcoolだ!まさに職人魂!
blow-dry : (髪をドライヤーで)ブローする
表面だけ取り繕う
【BLOW DRY】 2001年・英
監督:パディ・ブレスナック
脚本:サイモン・ボーフォイ
製作総指揮:シドニー・ポラック
美術 サラ・ホールドレン
俳優:ジョシュ・ハーネット(ブライアン)
レイチェル・リー・クック(クリスティーナ)
アラン・リックマン(フィル)
レイチェル・グリフィス(サンドラ)
ナターシャ・リチャードソン(シェリー)
ビル・ナイ(レイ)
<ストーリー>
かつては「伝説のハサミ」と畏れられコンテスト荒らしの常連だったフィルは、10年前、三連覇がかかったヘアドレッサー選手権前夜、仕事上もパートナーだった妻とモデルに駆け落ちされて、すっかりいじけてしまった。息子ブライアンはパパの店の助手。絶縁状態のママ、シェリーは、目と鼻の先で駆け落ちした元モデルのサンドラと一緒に美容院を開いてる。実はシェリーはガンで余命いくばくもないのだが、誰にも打ち明けられずにいる。
そんな中、ヘアドレッサー選手権が、このヨークシャーの田舎町キースリーで開催されることに!市長は1人で大コーフン。“髪”なんてこぎれいにしてりゃなんでもいいという認識の田舎町のこと、市民も新聞記者もほぼ無関心。さて、いよいよ大会が近づき、ロンドンから、イギリス中から、一流ヘアデザイナーたちが押し寄せた!!
地元キースリーからはまだ誰も名乗りをあげていない。市長に説得されるフィルだが、頑固なフィルのこと、嫌な思い出から頑なに拒否し続ける。だが、息子のブライアンは、腕を試したい気持ちと、ライバルの一流アーティスト、レイの一人娘、クリスティーナに一目惚れしたことから、挑戦したい気持ちが高まっていった。だが、父は猛反対。チームは3人一組で申しこまねばならない。1人ではどうしようもないのだ。前夜祭の夜、ついに決心をかためたブライアンは、10年間口もろくにきいていなかった母と、母の恋人サンドラに会いに行き、3人で出場しようと申し出る。
大喜びの母、シェリー。残りの命を、バラバラになってしまった家族と過ごすことが彼女の歳後の願いだったのだから・・・。
いよいよ、コンテストが開催される!! だが、ライバルによる陰謀が待ち構えていた----。
<感想>
脚本は、あの「フル・モンティ」のサイモン・ボーフォイ。期待を裏切らない、爽やかに笑える小品に仕上がっている。
田舎町の市長が、町興しだ〜!と子供のようにはしゃぎまわる様子も可笑しく笑いを誘う。
華麗なコンテストのシーンは見ていてワクワクするし、美容師のコンテストという題材は、今までにないだけだって、興味深く楽しい。彼らの「髪」にかける炎の情熱は、一般人には理解しがたい
だけあってコミカルで笑える。
だが、脚本に問題が。
10年前の「事件」について、「理由」が語られていないので、
誰にも感情移入できないのだ。妻がレズビアンで、自分のコンテスト用モデルと、大会前日に駆け落ちしてしまったフィルはもう気の毒としかいいようがないのだが、二人が恋に落ちたのはまぁ仕方がないこととしても、なぜ、大会の前日なのか? 何か夫のフィルに問題(暴力や酒癖や浮気など)があったらしいことは一言も語られないし、まったく腑に落ちない。しかも、駆け落ちして、住んでいるところは目と鼻の先。しかも同業。離婚もしておらず、二人の姓は同じまま。ここが明確に語られないので、この家族がバラバラになってしまった原因が、単にシェリーの我侭でしかなく、どうも胸がスッキリしないのだ。妻が女と駆け落ちしたということで、世間の笑い者になり苦しんできたフィル。まだ幼かったのに母に捨てられたブライアン。その二人に、「私はもう死ぬんだから、最期の願いをきいて」と迫るのも、人によっては我侭ととれるだろう。
だが、私は、シェリーの最期の罪滅ぼしだ、と思う。才能がありながら世間を避けて生きざるを得なくなった夫に、もう一度、スポットライトを浴びるチャンスと、生き甲斐を与えてあげたい。
物心ついてから“家族”を持たずに孤独に育ったブライアンに、
死ぬ前に少しでも「母との時間」を持たせてやりたい・・・。
1人でこの世に取り残される愛するサンドラに、ホンモノのでなくても、“家族のように親しい存在”(フィルとブライアン)を
残してあげたい・・・。それがシェリーの願いだろう。
全体の流れもよいし、ラストはハッピーだ。
それぞれの「生き方」を頑固に貫くイギリス人気質がにじみ出ていて、よかった。
クリスティーナが、父レイの汚いやりかたに対する無言の抗議として、髪を切り落としてしまうシーン、そして、そんな彼女を、
心から「本当に綺麗だよ・・・」と愛に満ちた目で見つめるブライアン。とてもステキなキスシーンだった。
ジョシュ君が主演となっているが、実質的にこれはアラン・リックマンの映画、といえよう。彼の足の裏に彫られたハサミのタトゥー、最高にcoolだ!まさに職人魂!
blow-dry : (髪をドライヤーで)ブローする
表面だけ取り繕う
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